暗譜を確実にする練習方法 

「ちょっと独特な片手練習!」

家では暗譜は完璧なのに、人前で弾くと、緊張してふと音がわからなくなってしまい、「こんなところ、普段間違えたことないのに・・・」ということはよくありますよね。
私も今まで何度も経験していますので、本番が近づいてくるにつれ、いつも不安になってきます。

20年以上レッスンに通ってくださっている、ベテランの主婦の生徒さん(→ベテランの域に・・)ですが、先日のレッスンで、「また最近、直前になったら起きる、あのスランプに陥っているんです。」と言われました。
今まで間違えたこともない音がふとわからなくなったり、思わぬ所でミスタッチしたり、という状態になるそうです。
日頃から本当に真面目に練習をされていますが、人前ではなく、家で弾いている時にもなるそうです。

私も人前や舞台で弾く時、思わぬ所で間違えることは多々あり、長年の悩みです。
私の大学の恩師も、今も年に数回、現役でバリバリとコンサート活動を行っておられますが、舞台で暗譜が飛んでしまう悩みをいつもおっしゃっています。

もちろん練習量も大事ですが、それだけでなく、これを少しでも克服できるような練習方法がないかと私はずっと考えてきました。

そして、ついに・・!!これは絶対に効果があるはず、と実感できる練習方法を見つけました!
先日、大学の門下生の発表会がありましたが、この舞台でこの練習の効果を実感してきました。

この練習方法を編み出したきっかけは、この会の一週間ほど前に、数年ぶりに恩師にレッスンをしていただいた時のことです。
一曲目はまず右手から始まり、途中から左手が出てくる曲ですが、突端から左手の音をど忘れしてしまい、先を続けられませんでした。こんな音、今までたったの一度も間違えたことのない、ノーマークの音でした。

これにはかなりショックを受けました。他の音もこうなる可能性があるなと。
本番まで一週間弱しかなく、しかも生徒さん達のレッスンや、もちろん主婦業もありますから、練習時間は限られていますので、効率の良い練習をしなくてはいけません。
もちろん片手練習は日頃からしていますが、これでは足りないということがわかったわけですから、何か工夫が必要です。

左だけ暗譜で弾いてみることにしましたが、かなり音が跳躍する曲なので、右手が無いと殆ど弾けません。
そこで、右手は音を鳴らさず鍵盤上を動かすだけにして、左手はフォルテでしっかり、少しだけゆっくりめのテンポ弾きました。もちろん、全て暗譜です。

不思議なことに、この弾き方は、音を出している左手だけでなく、音を出していない右手にも神経を使っていることに気づきました。
両手でゆっくりフォルテ練習(click→ミスタッチをなくす練習方法)は今までに何度も練習していますが、この両手練習以上に細かく神経を使っていることがわかりました。ついでに、反対のパターンも練習してみましたが、練習していくにつれ、頭の中に一音一音が染み込んでいく感覚を感じました。

そして肝心の本番!!
ドキッとする状態には陥ることなく、いつもより落ち着いて演奏することが出来ました。
今回、この練習をしたのは数日でしたが、明らかに暗譜が安定していくのを感じましたし、そのことが自信につながって、演奏前の不安がかなり抑えられたことが本当に大きな収穫でした!!

大きい生徒さんには、この練習法は本当におすすめです♪
暗譜がしっかり出来ていて、やる気があれば、小さい生徒さんでも出来ると思います。

早速レッスンで、大学生や主婦の生徒さん達に伝授しました!
効果が現れてくれることを期待しています♪